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「採用ブランディング」の落とし穴

「採用ブランディング」の落とし穴

優秀な人財が集まらない売り手市場のいま、この状況を打破すべく各企業では様々な施策が検討されています。その中でも特に「採用ブランディング」が注目を集めています。
企業の人事部・総務部・広報部で働く方、採用担当者は、「採用力」強化のために「ブランディング」をしていきたいという声を上司から聞く機会が増えているようです。
会社の上層部では「ブランディング」の必要性を感じている方が多くなっている一方で、いまでも「ブランディング」への認識が漠然としており、その指示をうける担当者も、何をどのように進めて良いのか分からない方が多いのが現状ではないでしょうか。
そんな疑問にお答えするべく「採用ブランディング」とは何か、ブランディングの視点で採用を考える際に注意すべき点についてお伝えしたいと思います。

「採用ブランディング」とは何か

まず、世間でうたわれている「採用ブランディング」とは何でしょうか。優秀な人財を確保するために、求職者に対して戦略的に情報発信することによって企業のイメージを向上させ、優秀な人財に「この企業で働きたい」と思ってもらい、優秀な人財を採用すること。これが基本だと思います。
「戦略的に情報を発信する」とは、他社と差別化を図り、企業の「USP(つよみ)」やその企業「らしさ」を抽出し、かつターゲットに刺さる情報をコントロールして発信していくことです。具体的には「採用サイト」を作り、その中で求職者に刺さる「採用コピー」や「採用コンテンツ」を製作・掲載し、「採用ブログ」や「SNS」で発信していきます。
お店の外装を綺麗にすれば、一時的にでもお客様が増えるのと同じで、求職者にとっても古臭いホームページよりは、かっこいいホームページの方が応募したくなるでしょう。もちろん企業のUSPが分かり易く表現され、魅力的な社員が働く様子を伝えることは、求職者だけでなく、顧客への印象も良いものとなるでしょう。
しかし、そんなうわべだけのことで、採用を考えて良いのでしょうか。

「人」が一番難しい

私自身、ブランディングという仕事をしていて思うことは、ブランディングという切り口で映像・企業サイト・パンフレットなどの紙モノなどさまざまな施策の結果として最終的に行きつくところが「人」だということです。
素敵な受付のあるオフィスに変えて、ホームページの見栄えを良くしても、肝心の社員と会社のあるべきブランドイメージとが乖離していたのでは、一向に企業のブランド価値は上がりません。表層的な「デザイン」を変えることは比較的簡単ですが、「社員」をあるべき姿に近づけていくこと、またあるべき姿に近い人財を獲得することが、もっとも難しく企業にとって重要なことです。

「欲しい人財」と「本質的に必要な人財」との乖離

「採用ブランディング」に落とし穴があると感じている理由は三つあります。一つ目は、採用担当者や社長が欲しいと思っている人財を獲得することを目的として「採用ブランディング」は行われますが、その「欲しい人財」が採用担当者や社長の独善的なイメージであることが多く、会社にとって「本質的に必要な人財」と乖離している可能性があるからです。

「選考」の難しさ

二つ目の理由は、企業の経営戦略を考えた上で「本質的に必要な人財」が明確に出来たとしても、実際に応募してきた人財の中から必要な人財を選考する際に、「この人が必要な人財だ」と感覚的に選ぶため、実際に働き始めたら「思ってた人財じゃなかった」ということが往々にして起きてしまうからです。また、選考にSPIなどの適正検査を導入していたとしても、企業側にそれをしっかりと読み解く力がないと効果はありません。

「定着」の難しさ

三つ目の理由は、晴れて「本質的に必要な人財」が採用出来たとしても、いざ働き始めたら既存社員との相性が合わなかったり、理想化された「採用サイト」を見て入社したけど、実際の社員や職場環境に大きなギャップを感じ、定着せずに辞めてしまうことが多いからです。
つまり、企業の経営戦略をしっかりと分析し、会社の風土や既存社員の思考方法や傾向を把握した上で、会社にとって「本質的に必要な人財」を見定め、その「人財を獲得するために適切な情報を発信する」ことで、人財が集まり、SPIや面接などを通してその人財を見極めて採用し、更には既存社員や会社の風土も経営戦略上の「あるべき姿」に近づけていくように様々な施策を行うことで、「本質的に必要な人財」が定着しやすい職場環境になり、これを繰り返し行うことではじめて、会社自体が「あるべき姿」に近づいていきます。
こうした活動を通してはじめて「採用ブランディング」と言えるのではないかと私たちは考えています。

「採用ブランディング」の落とし穴とは

会社が「あるべき姿」に向かっていく「ブランディング」において「採用」を考える上では上記のような一つ一つの行程が必要であり、一方、世の中で広まっている「採用ブランディング」は上記の中の「人財を獲得するために適切な情報を発信する」の部分のみしか行っていない。その不完全さが、私が「採用ブランディング」には落とし穴があると感じている要因です。

これでは、「人」と「企業」のミスマッチを防ぐことは出来ません。
次回はより良い「採用」のために具体的に何を行うのか、ブランディングの視点で紐解いていきたいと思います。

株式会社ディレクトリー DIRECTORY(Copyright)

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なぜ自社でブランディングは出来ないのか

なぜ自社でブランディングは出来ないのか

ディレクトリーは「ヒト・モノ・キギョウにもっと『らしさ』を」という理念を掲げています。そこには世の中にある、ありとあらゆるミスマッチを解消したいという想いがあります。弊社は一貫してブランディングという視点で、そのミスマッチを解消してきました。数多くのブランディングを行う中で、弊社では企業自身では「ブランディング」は出来ないという結論に至っています。では、なぜ自社で「ブランディング」が出来ないのかを紐解いていきたいと思います。

自社でCIを製作していた中小企業

最近は『ブランディング』という言葉も少しずつ浸透してきており、企業が業績の悪化や知名度の低さに悩んだりする時の一つの施策として『ブランディング』を頭に浮かべることも増えて来ていると思います。また、『ブランディング』という概念が定着する以前から、多くの中小企業では、「長年勤めた会社のことは自分たちが一番よく分かっている」と考え、企業内で企業理念やコーポレートメッセージなどCI(コーポレートアイデンティティ)を制作していました。それでも、消費者や企業に対し、その企業の特徴や強みが伝わり、業績も悪化せずに経営出来ていた時代がありました。そして、いままで中小企業が企業理念やコーポレートメッセージを自社で制作していた流れから、多くの中小企業では『ブランディング』についても自社で「強み」「らしさ」を考え、行っていけば良いと考える傾向にあります。

情報過多の時代に必要とされるブランディング

情報量が激増する現代において、氾濫する多くの情報の中から企業が発信する情報を認識してもらうこと、さらにそれを記憶に留めてもらうことは非常に困難なことです。渋谷のスクランブル交差点にあるビル群の広告をいくつ記憶に留めているかを考えると容易に想像がつくと思います。では企業の情報に対して、消費者購買行動モデル・AISAS(アイサス)でいうところの認知(Attention)そして、興味(Interest)を持ってもらうには何が必要でしょうか。

ブランディングに必要な要素

ブランディングを考える時に、「コピー」「ロゴ」「ホームページ」をかっこよくするといったブランドの「表現・デザイン」にばかり目が行きがちです。デザイン会社がブランディングを手掛けていることが多いのもうなずけるところです。しかしながら、この情報過多の時代に、消費者に認知してもらい興味を持ってもらうためには、客観性を持って、伝えるべき「人・企業」に対し、「響くもの・共感を生むもの」を「どのように」届けるかを戦略的に考えていく必要があります。企業のあるべき姿を伝えるべき人に伝えるためには「コンサルティング機能」「マーケティング戦略」「クリエイティブ」の全ての要素が必要になり、さらにブランドを確立させていくためにはPDCAサイクルを回して行かなければなりません。これが「BRANDING」という「ING」が付いている理由でもあります。つまり、自社で考えた「企業理念」やただかっこいい「ロゴ」「コピー」では、ターゲットには届かない、伝わらないということです。

企業の課題解決を前提としたブランディング

ブランディングを考えている企業は、何らかの課題を抱えており、その課題解決の手段の一つとしてブランディングを検討しています。弊社では、ブランディングの話をクライアントとする場合、まずは業界の状況、そしてその企業の課題についてお話させていただき、ブランディング戦略を考えていきます。企業の課題に対して徹底したコンサルティングを行うことで、ブランディングのために必要となるアクションを選定します。例えば、企業の方からセールスプロモーションを強化したいという課題を頂いたとしても、コンサルティングをしていく中で、根本的な課題が「人財」にある場合には、「採用」を軸にしたブランディングを提案していきます。

弊社独自のブランディング手法

そこから具体的なアクションに落とし込んでいきます。一般的にブランディングを行う際にはブランドの核となるCI(ブランドメッセージなど)の見直しや作成から入るケースが多いと思いますが、弊社では「動画」を核としてブランディングしていくことが多くなっています。なぜなら「動画」はテキスト・画像のみの場合の5,000倍といわれる情報量があり、圧倒的に記憶に残りやすく、また人の心を動かすメディアだからです。ブランディングにおいて「動画」は発信する情報の最上流となり、この「動画」と一貫したトーン&マナーで、Webサイトやペーパーメディアを作製していくことで、ブランドを確立していきます。また、「コーポレートムービー」を作製する際には、ほぼインタビューの撮影を行います。インタビューの中から、自然にその会社らしさや強み、キーワードがたくさん出てきます。これらを素材としてコーポレートメッセージなどのCIを構築していくことも多くあります。

まとめ

最後は少々脱線して弊社の具体的な手法についてお伝えしましたが、今回、「なぜブランディングは自社で出来ないのか」というテーマで書いてみました。一部か全体かは別として自社主導でブランディングをしようとして、失敗してきた例をたくさん見て来ました。くりかえしになりますが、第三者機関によって「マーケティング」「コンサルティング」「クリエイティブ」を連動して進めて行かなければブランドを確立することは出来ません。ブランディングについての疑問点等ございましたら、弊社メンバー一同ご連絡をお待ちしております。